振動溶着の原理 振動溶着の基本と樹脂の溶融振動溶着の原理

振動溶着は、非常にシンプルな工法です。

人は寒いとき手と手を擦り合わせて温めます。その発熱の原理となる「摩擦熱」にて樹脂を短時間で発熱させ、溶かして溶着接合する工法です。

工法によっては難しい樹脂であっても振動溶着は熱可塑性の樹脂であればほとんど問題なく接合することができます。

一般的な240Hzの周波数帯の振動溶着機の場合、振幅は1.0mm~1.5mm、加圧力1MPa~2MPa、溶着時間は2秒~5秒程度で母材の80%~30%*の接合強度を出すことができます。(*樹脂の種類によって差があります)


ネジなど不要で二つの成型品のみで接合が可能なため、リサイクル性も高くお客様に高評価を頂いています。

振動溶着は、自動車用部品、家電製品、OA機器等製品に幅広く使用されています。

樹脂の溶融

下のグラフは溶着中の時間を横軸に、溶け代と溶着強度に寄与する溶融層の厚みをグラフ化したものです。溶融層は接着剤だと思ってもらえればイメージはOKです。満足した溶着強度を得るには溶融層を溶着界面に成形してやる必要があります。

溶着中には大きく4つのフェーズがあります。

Ⅰ.摩擦領域

樹脂が固体で擦れあっている状態

Ⅱ.遷移領域

ガラス転移点を超えて軟化変形している状態

Ⅲ.定常領域

溶融している状態

Ⅳ.固化領域

溶融部の冷却


まず溶けていない樹脂(フェーズⅠ)がこすれあっている状態から摩擦により温度上昇が始まり、樹脂温がガラス転移点を超えて軟化変形(フェーズⅡ)を始めます。さらに摩擦を続けると樹脂の融点を超えてどろどろと溶けていきます(フェーズⅢ)。十分溶かしたところで振動を止めて冷やして固める(フェーズⅣ)で溶着完了です。

溶着強度に寄与する溶融層はフェーズⅡから形成されフェーズⅢに入るとバリを作るだけで厚みはそれ以上増してきません。最後に冷却で押し固められて少し厚が薄くなります。


溶着リブの高さが十分でなく溶着条件が弱いと、フェーズⅢへ移行せず溶着が終わり期待する溶着条件がでない場合あります。

溶着条件でお困りのことが御座いましたらブランソンにお気軽にお声がけください。

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